少林寺拳法とは?

 少林寺拳法は1947年、日本において宗道臣が創始した”人づくりの行”です。
 自分の身体と心を養いながら、他人とともに援け合い、幸せに生きることを説く「教え」と、自身の成長を実感し、パートナーとともに上達を楽しむ「技法」、そして、その教えと技法を遊離させず、相乗的なスパイラルとして機能させる「教育システム」が一体となっています。
 人間は生まれながらに、どのようにも成長してゆける可能性を秘めています。少林寺拳法は、その可能性を信じて自分を高め続けられる人、周囲の人々と協力して物心両面にわたって豊かな社会を築くために行動できる人を育てます。

金剛禅とは

 少林寺拳法の教えは、とりもなおさず少林寺拳法創始者宗道臣の教えですが、その宗道臣の教えの根本は、仏陀釈尊の正しい教えと、これを正しく継承した菩提達磨の行法を現代に生かすことにあります。
 即ち、金剛禅とは死後の安楽や現世利益を説くのではなく、生きている人間が、少林寺拳法の修行を通して、まず己をよりどころとするに足る自己を確立し、そして他のために役立つ人間になろうという、身心一如・自他共楽の新しい道なのです。なお、金剛禅という名称は、仏教の守護神とされる仁王尊の神名に因んで、阿吽・陰陽二体の金剛神が象徴する無限・無量の宇宙の大調和をイメージして宗道臣が名付けたものです。

少林寺拳法の創始の動機と目的

 少林寺拳法の創始者である宗道臣は、戦後の混乱のさなか、自身の体験から、リーダーの質によって、集団や社会の方向性が大きく変わるという真理を悟りました。そして、リーダーシップとは、自信と勇気と正義感、行動力に根ざすものであると定義づけました。
 人が平和で豊かに生きてゆくために、正しいリーダーシップを発揮できる人間を一人でも多く育てようという“人づくり”の志を抱いた宗道臣は、敗戦直後の混乱で自己を見失いそうな若者たちに、人として豊かに生きるべき道を説くとともに、身体を鍛え自信を得るのに有効な技法を教え始めました。修練の中で、道を説いて誇りや信念を引き出し、人が生まれながらに持つ成長の可能性を実感させ、自信と勇気と行動力を併せ持つ、社会の役に立つ人を育てようと創始したのです。

少林寺拳法の六つの特徴

拳禅一如

「拳」は肉体を、「禅」は精神を意味します。身体と心は別々のものではなく、互いに影響を及ぼす一体のものです。少林寺拳法では、身体と心を、どちらかに偏らせることなく、バランスよく修養します。

不殺活人

少林寺拳法の技法は、誰かを傷つけるためのものではなく、自分や他人を守り、活かすためのものです。少林寺拳法の技法は、人の可能性を実感させ、成長の喜びを味わうために修練されます。


力愛不二

慈悲心や正義感に溢れていても、力がなければ、誰かの役に立ったり、助けたりすることはできません。また、どれだけ力があっても、誇りや信念がなければ、正しい力の使い方はできません。力と愛、理知と慈悲の調和こそ、少林寺拳法の行動規範です。

剛柔一体

少林寺拳法の技法には、突き・蹴りなどに対し、受け・かわしから当身で反撃する「剛法」と、手首を握る・衣服をつかむなどに対して、抜き・投げ・固めなどで反撃する「柔法」があります。剛法と柔法は、互いの特徴を活かしあい、巧みに組み合わせることによって、効果を倍増させることができます。


守主攻従

少林寺拳法の技法は、不正な暴力から身を守るためにあります。そのため、まず守り、それから反撃する技法体系となっています。また、確かな守りの体勢を築くことで、相手の弱点を冷静に見極め、有効な反撃ができると考えています。

組手主体

少林寺拳法の修練は、二人一組で行うことを原則とします。これは、相手の行動に適切かつ柔軟に対処できる実戦的な技法を養うためであると同時に、共に協力して上達し、その喜びを分かち合うためです。

少林寺拳法創始者 宗 道臣の経歴

少林寺拳法創始者宗道臣(1911~1980)について

 1911(明治44)年2月、岡山県作東町(現美作市)生まれ。
 17歳の時、中国に渡り、大陸を駈けめぐる。その間、縁あって嵩山少林寺の流れを汲む文太宗老師の知遇を得てその門に入り、各種の拳技を修得する。
 ソ連軍政下の中国東北(満州)の地で敗戦を迎える。
 敗戦直後の極限状況下で、人間の赤裸々な行動を目の当たりにし、法律も軍事も政治の在り方も、リーダーとなる「人の質」にあることを確信する。そして、真の平和を達成するためには、慈悲心と勇気と正義感の強い人間を育てる以外にないと決心する。
 1947(昭和22)年10月、香川県多度津町において、力愛不二の“教え”と自己確立・自他共楽を旨とする“技法”を中心とした、社会に役立つ人づくりの教育システムを考案して、拳禅一如の「少林寺拳法」を創始、少林寺拳法師家となる。1980(昭和55)年5月、逝去。

少林寺拳法の沿革

 1947年10月、日本の香川県多度津町の自宅で、宗道臣は教えと技法と教育システムを兼ね備えた「人づくりの行」として、少林寺拳法の指導を開始しました。
 1951年、宗教法人法に基づき、金剛禅総本山少林寺を開基。
 1956年、日本少林寺武芸専門学校を設立。その後、二度の名称変更を経て、現在は学校法人禅林学園として、少林寺拳法の理念に基づく学校教育を展開しています。
 1963年、社団法人日本少林寺拳法連盟を設立。1991年、社団法人日本少林寺拳法連盟は解散し、財団法人少林寺拳法連盟を設立して、学校・職域などで少林寺拳法のクラブ活動を展開しています。
 1972年、国際少林寺拳法連盟が発足。1974年、国際少林寺拳法連盟は解散し、少林寺拳法世界連合が発足して、2008年3月現在、世界33カ国で少林寺拳法が愛されています。
 2003年、有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人を設立。2006年、有限責任中間法人SHORINJI KEMPO UNITYに名称変更し、少林寺拳法の知的財産を保護・有効活用し、人づくり運動をサポートしています。

少林寺拳法の組織

宗道臣によって創始された、「教え」と「技法」と「教育システム」を兼ね備えた“少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)”は、金剛禅総本山少林寺、財団法人少林寺拳法連盟、禅林学園、少林寺拳法世界連合、SHORINJI KEMPO UNITYの5つの組織によって普及されています。少林寺拳法グループは、2005年4月に制定した新たな統一マーク・ロゴのもと、各法人・団体が連携・融和をはかりながらその独自性を生かして、世界で一つの“少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)”として社会教育活動を展開しています。

金剛禅総本山少林寺は、少林寺拳法による身心一如の修行をもとに「自己確立」「自他共楽」の道を究め、日々の暮らしに生かすという独自の宗風をもつ教団です。金剛禅は、人間が宇宙の大いなるはたらきを宿す“可能性の種子”であることを信じ、その可能性を開花させながら、お互いを尊重し合い、手をとり合って平和で豊かな社会を実現していこうと説いています。日本各地のおよそ2,000の道院では、子どもから高齢者まで、世代を超えて楽しく修行にいそしんでいます。
本山:香川県仲多度郡多度津町本通3-1-48
東京別院:東京都豊島区北大塚2-17-5

財団法人 少林寺拳法連盟はそれぞれの地域の公民館、体育館で、スポーツ少年団やカルチャーセンター、地域の道場といった地域型活動や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・専門学校・大学など、学校のクラブ活動として、また、官公庁、民間企業など、職域のクラブ活動として少林寺拳法を普及しています。こういった中で、男女を問わず、誰でも、いつまでも、楽しく、幅広い年齢層で親しめる少林寺拳法を通じて、豊かな人間性を涵養(かんよう)し、体も心も養う、「体と心の健康づくり」をしています。
本部:香川県仲多度郡多度津町本通3-1-59
東京事務所:東京都豊島区北大塚2-17-5

 1956年、宗道臣の真のリーダーづくりの夢を実現させるために禅林学園は誕生しました。以来、社会に貢献できる人材育成に力をそそいできましたが、2002年4月からは、広く少林寺拳法の教育を社会に普及させるために、少林寺拳法の経験、未経験の枠にとらわれることなく、中学校卒業を対象とした高等課程普通科を開講。新しい人づくりの挑戦をはじめました。そして、今、日々の教育活動の手応えを実感しながら、さらなる挑戦を始めようとしています。
学校:香川県仲多度郡多度津町本通3-1-59

日本で創始された少林寺拳法は、1960年代後半ごろから日本国外にも広がり始め、現在では世界33ヶ国(2008年3月現在)に普及しています。WSKOに加盟している各国連盟及び各支部では、少林寺拳法の修練はもとより、少林寺拳法の教えに共鳴し、様々な実践活動(社会貢献活動)にも積極的に取り組んでいます。宗道臣というひとりの人から生み出された少林寺拳法は、人々の心と心を結ぶ架け橋となり、世界中の仲間たちが民族・文化・宗教・言語の違いを越えて友情をはぐくみ、国際色豊かな交流を行っています。
本部:香川県仲多度郡多度津町本通3-1

1947年に、宗道臣が社会に役立つ人づくりを目指し、「教え」と「技法」と「教育システム」を兼ね備えたものとして創始した、流派のない“世界で一つの少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)”を今後も守り、正しく普及し発展させることを目的に、2003年11月に設立されました。少林寺拳法の知的財産を保護すると共に有効活用を行うための事業、また、少林寺拳法の普及・発展に貢献する団体などに対する支援事業を行っています。
事務所:東京都豊島区北大塚2-17-5